gintemaree’s diary

創作には番号をふっています。

[9]柊

※公然わいせつに関係する表現があります。苦手な人は避けてください。 どこをどう走ったか覚えていない。私は早鐘を打つ心臓を抱えて穂高の前にいた。言葉どおり死ぬ気で走り、あの男を撒くことに成功したようだった。 上がった息も整わぬまま店内にはいる。…

[8]鬼

※公然わいせつに当たる表現があります。苦手な人は避けてください。 2月3日。 ダウンジャケットはあった方がいいが、電車内だと暑い、くらいの豆撒き日和である。 私は1人で丸の内線に揺られ、日本橋へ向かっていた。 目的地は日本橋三越本店。百貨店の恵方…

[7]救済

梅雨真っ只中である。 私は就職活動を無事に終え、半パンにクロックスという諦めた装いで大学へ通っては卒業論文の執筆に勤む日々を送っている。 自習室の空調は設定温度が異常に低い。そのため雨の日は震えながら机に向かっている。我ながら滑稽な濡れ鼠で…

[6]惹起

1月も残り少ない午後3時。穂高の席につきホットコーヒーを頼む。 鞄から格好をつけた文庫本を取り出しつつ携帯のメッセージを確認する。彼女の到着まで10分弱といったところか。 待つのは好きな方である。相手がいつ到着するか分からない、アンコントロール…

ことばが足りないとき

お題をいただいたのでことばについて書きます。 今回は何かを結論づけるつもりはなく、とりとめのない感じになれば良いなと思う。 素敵な文章を書く友達がいる。彼が言うには、人となりは言葉によって表されるが、一方で大きな感情を言葉にした時、抜け落ち…

ルッキズムとアイドルカルチャーの折り合いを考えたら血の気多くなった

はじめに、アイドル門外漢の私がこんなこと書いて良いのかは自信がないが、どうぞお付き合い願います。 タイトルはもらったお題から。 Twitterであんなことやこんなことを言っている割に、私はルッキズムについて無知だった。 正確に言うと、私は社会に温存…

[5]灰色の春

春が来た。さして陽気でもない日に、彼女に誘い出された。 「桜を見て体内時計を合わせた方がいいと思いませんか?」 「年単位なんですね。」 どうしても心が曇る今年、地獄に仏といったところである。 「あなたのその、ちゃんと季節を追いかけるところが本…

上弦の月が一周した

手袋を忘れて帰る日は余計に空気が澄んでいるように感じる、などとポエムを吐いていた2月は遥か昔である。慌ただしくもじりじりと動けない3月を過ごしている。 こんなご時世だ、心身のバランスを崩している友達はいませんか?自分が損ねた手前、大切な人たち…

特技と今後の展望

持って生まれた手先の器用さとガサツさ、創作の力と色彩センスのなさで平凡を保っている。 時々なら何もないところから光る泥団子をこさえるが、だいたいはすぐ飽きる。直感と惰性の四半世紀。 10歳の頃から手芸を嗜んでいる。 叔母から大量のビーズをもらっ…

[4]散歩ⅱ

散歩というには少し早足なくらいで、両国橋へ向かって支流沿いを下る。もう冷えたビールが体温を奪い始める頃かと、身をもって季節の移ろいを感じる。 「この川沿いは金木犀が植わってるらしいですよ。」 「そうですか。」 「まだ引き出しはないままですか。…

座右の銘が決まりました

突然なんの報告だ?と言う感じではあるが、座右の銘を発表する。 手鞠屋さんは座右の銘を「外野は黙っとけ」に決定しました。 少々棘がありびっくりするが、ひとつ宜しくと言うことで。 少し前にはてなブログのネタを募った。ある人から「人生」というお題を…

[3]散歩

『秋が終わってしまいます。散歩をしましょう。』 中秋の名月も過ぎて暫く経った頃、彼女からメッセージが届いた。 『本当はワインを仕入れに山梨まで行きたいところ、ご時世が許さないだろうと思うので。』 『それはわたしも許さないだろうと思いますね。い…

個性つよい髪型と利点

社会人になってから、髪型を変えて局部的に伸ばしはじめた。 会っている人は分かると思うけど、かなり個性的な感じになっている。一応自覚もある。 説明が難しいので写真で紹介する。美容院行った後は自撮りしたくなるから、割と髪型の綺麗な写真があって丁…

本当は書くまでもない最近の出来事

◯親不知、本人も知らず 2週間ほど前に、親不知が生えているのを発見した。 自分のことを親不知が生えていない珍人間だと思っていたがそんなことはなかった。 なんか硬いものを食べた。 それで親不知に被っていた歯茎がちょっとめくれて歯が見えた。 生えてる…

大学1年生の時に指定図書を半分しか読まずにそれっぽく書いたレポートが出てきました。

私は昔から付け焼き刃が得意です。 「権利のための闘争(イェーリング著)」のレポートを書く課題で、途中からずっと同じこと書いてるくね?と思って後半を読まずに出したレポートです。原稿用紙2枚強ほどの短いものです。 パソコンを持っていないので、レポ…

知覧バス旅

1月16日、今日はバス旅をする。 目的地は知覧町。学生時代にお世話になっていた美容師さんに久しぶりに髪を切ってもらいに行く。 社会人一年目のくせに学生時代なんて言葉を使うのはなかなか照れる。 髪を染めるために一人旅する事もそうないのでバスに揺ら…

男子トイレを掃除した話

9月の話だ。仕事で某進学校の男子トイレの掃除を任された。以下は男子トイレに初めて入った人間によるお掃除レポである。 なお、利用者とかち合わないよう、時間等を調整したうえで掃除したことを申し添えておく。 男子トイレの小便器はかなり特殊な存在だっ…

[2]電話

穂高が休業した。 例の肺炎がかの店にシャッターを下ろさせて早1ヶ月。そろそろあのコーヒーが飲みたい頃である。 彼女が辞書を作りたいと言ってから、私たちは律儀に3度ほど編纂をおこなった。辞書には現在6語が収録されている。 喫茶店での辞書作りなど不…

好きな物語を散らかった部屋で語る

タイトルは失念したが、作家坂木司の鳥居シリーズに、ルチャ・リブレと親子の話がある。 鳥居シリーズ(と勝手に読んでいる)というのは、主人公坂木司の友人であり重度の引きこもりの鳥居という男が、卓越した推理力で周りの困っている人の背中を押してゆく…

2月24日

晴れ。 お友達とラーメンに並ぶ。 うまかった。 エチュードへ。 お友達が仕事で使えそうな色のリップを見繕ってプレゼントしてくれた。嬉しかった。 彼女が勧めてくれる化粧品は外れがなくてよくお世話になっている。いつもありがとう。 抹茶ラテを飲みなが…

[1]穂高にて

彼女は唐突に言った。 「金木犀の匂いが分からないんです。」 私はへぇとだけ返した。 「外を歩いてて、金木犀のいい匂いがするってみんな言うじゃないですか。それを感じたことがないんです。」 彼女はさも他人を不思議がっているように続ける。 「どういう事で…

頭がいい人憧れる

すぐ怒ることと、怒らなきゃいけない時に怒れないことが多くて困っている。 あとなんでも顔に出てしまう性分。まじで損。 大学入ってからTwitterを始めたんですけど、賢い人は140文字でも冷静にリプしてて本当に頭良くてすげえなと思うのよ。 日記を見返すよ…

登録に手こずった話

なんとなく考えを長文で細かなニュアンスで発信できる手段がほしいと思っていた 色々なアプリの評判の上澄みを掬って、はてなブログにチャレンジすると決めた インストールするとcookieがオンになっていないからと登録できなかった cookieってなんですか? …